grunerwaldのblog

バイロイト音楽祭やザルツブルク音楽祭など、主に海外の音楽祭の鑑賞記や旅行記、国内外のオペラやクラシック演奏会の鑑賞記やCD、映像の感想など。ワーグナーやR・シュトラウス、ブルックナー、マーラー、ベートーヴェン、モーツァルトなどドイツ音楽をメインに、オペラやオペレッタ、シュランメルン、Jazzやロック、映画、古代史・近現代史などの読書記録、TVドキュメンタリーの感想など。興味があれば、お気軽に過去記事へのコメントも是非お寄せ下さい。

2016年09月

ジュリー・アンドリュース主演の映画「サウンド・オブ・ミュージック」(1965年公開)で7人兄弟姉妹の長女リーズル役を演じたシャーミアン・カーさんが死亡したとの報道。→http://www.cbsnews.com/news/sound-of-music-actress-charmian-carr-dies-at-73/

マリア・フォン・トラップ未亡人の原作をもとに脚色されてヒットしたリチャード・ロジャース作曲・オスカー・ハーマンスタインⅡ作詞による舞台ミュージカルをベースに更に映画向けの脚色を加え、ロバート・ワイズの監督・製作で世界的なヒットとなって50年。映画「サウンド・オブ・ミュージック」では主テーマ曲をはじめ「ドレミの唄」や「自信を持って」「マイ・フェイヴァリット・シングス」など、何十年の時を経ても色あせない名曲に溢れている。シャーミアン・カーさんが演じたリーズルの役で言えば、郵便配達夫のボーイフレンドと嵐の夜にガラスの東屋のなかで歌い演じた「もうすぐ17歳」の印象が強い。歌唱もさることながら、ダンスも大変素晴らしく、感動したことを覚えている。45周年版で買ったブルーレイでは、ボーナス特典にジュリー・アンドリュースやシャーミアン・カー、ロバート・ワイズ監督らが映画の進行に合わせて撮影の裏話しを語るのが字幕付きで見られたのも興味深かった。

7人の兄弟姉妹で個人的にもっとも印象に強く残っているのは三女のブリギッタを演じたアンジェラ・カートライトで、クリストファー・プラマー演じる父トラップ大佐が居間でギターを手に「エーデルワイス」を独唱する場面では、よく見ると本当に泣いてしまっているかのよう。そのアンジェラ・カートライトもいまや孫を抱いたお祖母ちゃんだが、彼女の公式サイトを見てみると、「サウンド・オブ・ミュージック」製作何十年かでの「同窓会」でかつての7人の兄弟姉妹役達は再会し、その後定期的に「同窓会」(もちろん映画会社主体のPR行事のような催しのようだが)的な催しに参加している様子が写真入りで公開されている。いたずらっ子の次男のクルト君役などは面影が残っているが、後の方はまったく印象が変わってしまっていて、一見ではわからない。あんなに可愛い子役(グレトゥル)だったキム・カラスなど、ゴージャスでグラマラスな女性だ。

この夏に訪れたヴォルフガング湖で過ごした短い間は、まさに「サウンド・オブ・ミュージック」の郊外編の世界だった。

ところで今日は「音楽の友」を読んでいたら、ギュンター・フォン・カンネンの訃報が伝えられていた。こちらは日本の一般紙では目にしなかった気がする。→http://www.bayreuther-festspiele.de/fsdb/personen/166/index.htm

え~!!マジかぁ~!でも時事通信が伝えてるんだから間違いないんだろうけど…
以前に病気降坂したのは知ってましたが、まさかこの若さでとは!残念無念です。

ヨハン・ボータ氏オフィシャルサイト→http://www.johan-botha.com/biography.php

NBSから最新の「オペラ・フェスティヴァル」の案内DMが届いた。それによると、 ①2017年9月のバイエルン国立歌劇場「タンホイザー」(キリル・ペトレンコ指揮、ロメオ・カステルッチ演出)と「魔笛」(アッシャー・フィッシュ指揮、アウグスト・エヴァーディング演出)から ②2018年9月ローマ歌劇場「椿姫」(ダニエーレ・ルスティオーニ指揮、ソフィア・コッポラ演出)と「マノン・レスコー」(ドナート・レンツェッティ指揮、キアラ・ムーティ演出) ③2019年1月リッカルド・ムーティ指揮シカゴ交響楽団演奏会ヴェルディ「レクイエム」 ④2019年9月英国ロイヤル・オペラ「ファウスト」(アントニオ・パッパーノ指揮、デイヴィッド・マクヴィガー演出)と「オテロ」(アントニオ・パッパーノ指揮、キース・ウォーナー演出) と、向こう3年に渡って行われる来日演奏会の事前一括申し込みを募るというもの。おや、と目が止まったようにソフィア・コッポラはフランシス・フォード・コッポラの娘、キアラ・ムーティはリッカルド・ムーティの娘。ムーティも、どえらいお土産を残してローマを去ったものである。ただし彼女の評判はまだ知らない。

今日はその宣伝をしようと思って書いているわけではなく、そのパンフレットの表紙に描かれた豪華なオペラ劇場内部の古い絵画をぼんやりと眺めていて、はたして馬蹄形のオペラ座の会場に於いて、視覚的にも聴感的にも最良の位置はどこか、という思いがふと脳裏をよぎったのである。いままでに国内では東京文化会館やNHKホール、神奈川県芸術劇場、新旧のフェスティヴァル・ホールやKOBELCOホール、びわこホールなど、さらに欧州ではウィーンやザルツブルク、ベルリン、ドレスデン、ライプツィヒ、フランクフルト、パリ・ガルニエ、ミラノ・スカラ座などの様々なオペラハウスの様々な席で数々のオペラを鑑賞してきた。そこで、特にウィーン国立歌劇場やミラノ・スカラ座などの伝統的で典型的な馬蹄形型のオペラ劇場に於いて、視覚的・聴感的ともに最良のポジションは、はたしてどこか?

あくまで個人的な私見であるが、それはおそらくパルケット(一階平土間)10列目前後くらいの中央の席で、かつ高さが2.5m~3m程度の位置が、最高の視点と聴点の両方を確保できる位置である。ん?そう、そんな席はありえない。そのためには、幽霊のようにふわりと宙に浮かんでいるか、恐ろしく座高が高いか、お化けのろくろ首のように首が長いかより他にやりようがない。唯一考えられるのは、ゲネプロなどで観客がいない時に、その位置に臨時のやぐらを組んで、TVカメラで撮影するようなことだろうが、それもTVカメラの高品位ズーム・レンズのことを考えれば別にそんな前まで来なくても一階の後方か二階の前列にカメラを設置すれば済むことである。

その位置の通常の客席のポジションとしても、もちろんそれは最良の座席には違いない。少なくとも音響的には望ましい位置だろう。経験上、舞台との距離もこれ位が最も見やすい。しかしながら、床の傾斜の少ない平土間だと、前の席に大柄な客がいると、それだけで案外視界確保に難を来すことになるし、オケ・ピットは腰板くらいの高さの囲いの向こうで大体は客席より低い位置なので、演奏する楽員の姿はほぼ見えず、運が良ければ熱演する指揮者の後頭部がよく見えるくらいである。ザルツブルクの祝祭大劇場は客席がすり鉢状になっていてステージも指揮者もオケも、どの席からも見やすい(ただし二階に一部、柱で見えない席がある)。逆に言うと、馬蹄形劇場の場合は音響的にも視覚的にも最善の選択は、1Rang(日本で言えば二階)中央の一列目が、舞台とオケ、指揮者のいずれを見通すにも、バランスが良い。音響も最適だ。ただし難点は、平土間の前方や中央付近に比べると舞台との距離感があり、舞台上の細かなディーテイルまでは視認するのが難しい点だ。性能の良いオペラグラスがあれば少しは問題は解決できるが、上演中ずっとオペラグラス越しに鑑賞することも出来ないので、時々「ここは」と思う時くらいしか実際には使えない。視力が弱いと、ピント調整も結構難儀だ。

あと、平土間一列目と言うのも舞台の迫力は文句なしだし、中央なら指揮者の熱気もダイレクトに伝わって来るのは間違いない。しかし舞台に近すぎて、歌手や役者が舞台上を移動する度に、首を右左に動かすことになり、結構疲れる。舞台の左右に歌手が分かれてしまうと、どちらかの視角が犠牲になってしまい、結果、首をキョロキョロとさせることになる。舞台の全体像としての美しさもやや捉えにくくなる。音響はダイレクトで迫力があるが、逆に言うと全体がまろやかにブレンドされたものとは言えない聴こえ方になる。また前方の席の場合、左右の壁に近いほど、音響的にも視覚的にもバランスは悪くなるように感じる。

左右の個室(ロージェ)の一列目で言うと、舞台に最も近い席からはほぼずっと舞台を横から観ることになり、格は高そうに思えて案外舞台は見づらい。前から3~6番目くらいの個室は、舞台上の歌手を適度な距離から斜め上から俯瞰するのには絶好の位置だが、オケの音響的には中央部で聴くよりもややバランスの欠けたものになる印象。やはり各階の個室も中央部に近いものほどバランスよく見聴きできるが、舞台からは遠ざかって行く。上階に行けば更に距離感が増して行く。ただ、スカラ座の最上階の天井桟敷などは、音が適度に天井に反射して案外いい音が聴けるというのを何かで読んだ記憶があるが、本当なのか、負け惜しみなのか、体験していないのでわからない。スカラ座では、右4階7番個室の一列目(スカラ座は最上部は6階=平土間含めると7階=になる)だったが、理想的な視覚と聴感だった(ナブッコ)。※追記:天井桟敷(ギャラリー)については、2017年12月のウィーン国立歌劇場「魔笛」(アダム・フィッシャー指揮)で初めて体験。噂の通り大変素晴らしい音響に感激した。

このように、実際にはどの席にも一長一短があって、一概にどの席が一番いいと言うのは難しいことで優劣が付け難い。最終的には個人の好みと運の問題になってくるだろう。ただしはっきりと言えることは、個室だと一列目でないと見通しのよい視界を問題なく確保するのは難しく、音響的にも内装にビロードのカーテンなどが使用されているので、部屋の内部に行くほど音が減衰して行き、デッドな音になるのは間違いない。ウィーンの楽友協会でも、左右のバルコン(二階)の二列目、三列目は、舞台は半分以上見れない。見れないと言うことは、イコール、聴感的にもいくらかは犠牲になっていると考えてよいと言えるだろう。

ウィーン国立歌劇場は、平土間中央の最後部が立ち席になっていて、ここの最前列は最もお得な価格で最良の視角と音響を享受できる。ただし早い者勝ちと立ちっぱなしと言う両面で、体力と行動力が必要とされるポジションだ。

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この夏2016年のバイロイト音楽祭の「パルジファル」と、ザルツブルク音楽祭の「ダナエの愛」がさっそく10月にNHK-BSプレミアムにて放送の予定らしい。このところBSプレミアムの国内回帰的傾向が強く、なかばあきらめているところがあったが、やる時はやってくれますね。今後も奮闘を期待したい。なお10月放送予定はこちら

バイロイト音楽祭2016「パルジファル」 10月16日(日)深夜→感想記事はこちら
ザルツブルク音楽祭2016「ダナエの愛」10月23日(日)深夜→現地鑑賞の感想はこちら




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